地方視察 報告

2017年11月16日

  昨日の夕方に帰京しましたが、11月13日から15日の三日間、神戸市、大阪市、京都市と三県にまたがっての行政視察に行ってきました。     神戸市では、「公営住宅を活用した定住促進策について」、お話を聴きました。   地場産業の衰退と共に、人口が減少したことから、子育てファミリー層を中心に呼び込み、定住してもらおうという試みです。   これまでの市営住宅などは、住宅に困窮する低所得者に安い家賃で賃貸する取り組みであるのに対して、神戸市が取り組むシティハイツ(特別公営住宅)は、新婚(内縁、婚約含む)か、小学校未就学の者がいる、または18歳以下の者が3人以上いるのいずれかで、月収15万8千円~48万7千円の世帯が対象となり、家賃の2割が補助される仕組みです。   「これは子育て世代にはありがたい」、さぞ利用する世帯が沢山いるものと思いきや、大きな駅前は人気が高いものの、利便性が悪いところは空き室も多く苦戦気味とのこと。   設備面の充実やそれに見合った価格競争などで民間住宅に後れをとっていることや中古物件の価格下落に伴い、賃貸より購入に流れてしまっていることなどが理由のようです。   説明を伺った後に、「子育て層のニーズに合わせた改築や設備追加などはあるのか」など、質問をしました。   新宿区も「住み続けるのが難しい」と考えるファミリー層が多く、その層の定住率が落ちており、高齢者の独居率がグングン上がっています。   こうした取り組みを参考にしながら、子育てからずっと新宿区に住み続けられる仕組みづくりを考えていきたいと思います。     14日、大阪市では「天王寺公園における民間活力導入の取り組みについて」、話を伺いました。   これまでの天王寺公園は、ホームレスの方が多く、市民にはあまり利用される場所ではなかったようです。   その上、管理費などで毎年3000万円が使われており、改善が求められてきた施設とのこと。   横には、市営の動物園や美術館もあり、ロケーションは悪くないのに、使い方の問題があったのではないでしょうか。   「アベノハルカス」や「あべちかの再整備」で一気に府内の主要スポットになったことで、市はこの公園の全ての活用や管理を近鉄グループに委ね、年3000万円の使用料を徴収する方針に切り替えました。   公園は、芝生を基調にした作りに生まれ変わり、「てんしば」と愛称がつけられ、様々なイベントが行われます。   また、有料の子育て施設や各種飲食店など商業施設も設置され、アベノハルカスと連動し、人の動線が大きく変わったとのこと。   管理・運営する近鉄グループも芝の管理など、経費の面では厳しいところもあり、公園の整備費を回収できるか微妙なところのようですが、最終的には連動するアベノハルカスの収益増につながることから、納得の商売のようです。   また、市としても、動物園や美術館の利用者増や、これまでと比べて差し引き6000万円の公園収益に、市民の納得を得られるとしていました。   「思い切ったことをするなぁ」というのが正直な感想ですが、利に聡い大阪ならではの「市民も商売人も役所もみんなが得をした」という感覚での取り組みは十分に参考になりました。   新宿区も新宿中央公園の活用が検討されています。   今後、こうした手法も議論に入れていく必要があるのかもしれません。     15日、京都市では「リサイクル資源を活用した優勝メダルの製作について」、説明を受けました。   これは、2018年京都マラソンにおける優勝メダル製作事業とリサイクル事業をかけた取り組みです。   携帯電話など小型家電に含まれる金の回収と地場産業の金メッキ加工技術の発展、市民のリサイクル意識向上の狙いがあり、回収拠点も着々と増え、効果が表れ始めているとのこと。   商業施設、駅、行政施設に54ヶ所の回収ボックスが設置され、人気の場所では3日で溢れてしまうほどとのこと。   金の抽出を担う業者は、レアメタルなど金以外のもので収益があり、金メッキを担う研究所は伝統技術の継承と発展につながるとのことで、それぞれ手弁当での事業協力です。   市の負担は、回収ボックスの管理など400~500万円とのことでした。   私が見た市役所のボックスには、電子レンジが入っており、「どうやって持ってきたのだろう」などと思いながらも、市民が一生懸命にこの事業に参加していることが確認できました。   また、コンピュータなどは宅配も受け付けているとの面白い取り組みも聴くことができました。   新宿区も2020オリンピック・パラリンピック開催に向け、こうした取り組みを検討する余地があるものと考えます。   今回の視察で、あまり財政負担にならないやり方も学ばせてもらいましたので、区にも研究をするように求めていきたいと思います。       3市、3日間に渡り、とてもためになる視察となりました。   物見遊山で税金の無駄遣いと言われぬよう、こうした取り組みや説明をしっかりと学びとして、新宿区の改革に反映していきたいと思います。    

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