本日は、10時から本会議が開かれました。
代表質問が行なわれ、私は午後の2番手での出番となり、10時半を過ぎたところでの登壇となりました。
「生成AIの活用について」、「ヤングケアラー・若者ケアラーについて」、「介護人材不足への備えについて」、「投機目的のマンション購入対策について」、質問しました。
手前みそではありますが、しっかりと区長や教育委員会に質せたものと思います。
質問の全文は以下に掲載します。
代表質問後は、先議議案の説明と各委員会への付託がなされ、本会議は散会となりました。
本会議後は、各委員会が開かれ、付託された先議案件の議案審査です。
私の所属する福祉健康委員会では、付託された議案「令和7年度一般会計補正予算(第4号)」について、説明を受け、質疑を行いました。
この補正予算にかかる「小児インフルエンザ予防接種について」では、委託単価や接種見込件数、医療機関への取り扱いについての確認がなされたほか、ワクチン接種の回数への質問が出ていました。
また、「新型コロナウイルスワクチン定期接種について」では、コロナウイルスワクチンの正確な情報提供についての質問がなされていました。
質疑後は、討論/採決となり、議案は全委員賛成で本会議に戻されました。
明日26日の一般質問では、志田さんが13時半頃の登壇となる予定です。
乞う、ご期待!
本会議での質問はインターネット中継もされていますので、傍聴が難しい方はこちらでもご覧いただけます。
<新宿区議会インターネット中継>
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/index08_08.html
「生成AIの活用について」
対話型AI「チャットGPT」の公開から3年となりますが、急速に開発と利用が進む生成AIの普及は加速度的に広がり、テクノロジーの進化は人々の仕事や生活に役立つとの期待が膨らんでいます。
そうした中、9月1日には内閣府にAI戦略本部が設置され、遅れている日本のAIの利活用や研究開発を促すため、基本計画の策定や偽情報や誤情報の拡散で国民の権利が侵害されないよう指針が取りまとめられるなど、施策が講じられることになりました。また、行政や企業が使うAIを海外企業に依存した場合、個人情報や機密情報などの情報管理の点で懸念もあることから、国内での研究開発が必要との判断もあるようです。ちなみに、総務省情報通信白書によると、2024年度の調査で「生成AIを使っている(使ったことがある)」人の割合は、日本では26.7%ですが、アメリカの68.8%や中国の81.2%などに比べて低く、企業での利用も進んでいないと報告されています。
こうして、国も遅れを挽回するために力を注ぐとされているAI分野の利活用などにおいて、各自治体で様々な取り組みがなされています。
葛飾区などでは、窓口での対応にAIを活用するとのこと。職員と来庁者との会話をAIに聞かせ、必要な情報を瞬時に職員へ提供するシステムが導入されるとのことで、9月中に本庁の戸籍住民課で試験導入し、来年4月から本庁の別の課や出張所でも本格的に運用していく予定。「専門的な情報がすぐに照会できるため、業務の円滑化など行政サービスの向上が期待できる」と担当者は語っています。
また、品川区では、昨年度に全国で初めて生成AIを活用して補正予算が編成されました。また、AIで分析した区民アンケートの結果のもとに、区内の小中学生のいる子育て世帯に、所得制限なしで米を配布するなどの施策を実施。こうした取り組みを受けて、区内企業と連携して生成AIを活用した共同研究を進めていくと発表がありました。
その第1弾として、保育の質の向上を目的とした保育士向けの生成AI研修を開発し、実施しました。保育現場では、「事務負担が重い」「残業時間が多い」といった課題が挙がっていましたが、園だよりや報告書などの文書作成にAIを活用したり、難しい言葉をAIを使って子ども向けにやさしく言い換えたりするなど、仕組みや操作方法を学ぶだけでなく、保育士の事務負担軽減に効果のある活用法が実践されたとのこと。この研修に参加した区立保育園や幼稚園に勤める職員からは、「事務負担が減れば、子どもと接する時間が増やせる」と活用に前向きな感想があったようです。
そして、千代田区立九段中等教育学校や足立区立西新井小学校など、文部科学省からの「AIパイロット校」に指定された学校では、教育の分野でも幅広くAIが活用されています。こうした学校が活用している生成AIシステムは、テキスト生成AIのチャットGPTを使い、学校独自の「校内GPT」として構築されたもので、校内で収集したデータは校内でしか利用できないなど、児童・生徒や教職員が安全で効率的に活用できる環境を整えました。児童・生徒は長文の要約や調べ学習に、教職員は各種問題の作成や文書の校正などに利活用しています。また、こうした学校では生成AIで作られた偽コンテンツ「ディープフェイク」への対応も理解した上で、主体的に考え、AIを活用できるようにする狙いもあるとのこと。
また他方では、教育の中で過度な活用は子ども達が安易に答えを求めてしまい、自分で考えることの放棄につながるといった懸念もあるようで、それを受けて「答えを教えないAI」教育も各地で模索されているとも聞きます。
いずれにしても、ここ1~2年で、生成AIの活用が当たり前となり、特にデジタルネイティブ世代と言われる今の子ども達においてはマストツールとなると言われています。また、ディープフェイク等の偽コンテンツや誤情報を見極める力も養わなければならず、インターネットリテラシー等の学習も併せて必要とされています。
縷々、いくつかの自治体の生成AIの利活用の例を申し上げました。
そこで伺います。生産性の向上や労働力不足の解消、様々な場面で大きな効果が期待できる生成AIの利活用ですが、一方では偽情報の拡散などのリスクもあり、イノベーション促進とリスク対応を同時に進めなければならない難しいミッションとなります。そうしたことを踏まえた上で、区はどのように生成AIを採り入れ、どのような分野での活用をお考えか、また、どのような点に注意が必要とお考えか、ご所見をお聞きします。
また、教育委員会にも同様にお考えを伺います。
「ヤングケアラー・若者ケアラーについて」
まず、ヤングケアラーについて伺います。現在、新宿区では、ヤングケアラーの実態調査として、教育委員会が小学校4年生から、中学校の児童・生徒を対象に、個別・全員の記名調査を行っています。そうした調査を受け、支援が必要な児童・生徒に関しては、子ども家庭支援センターにつなぎ、学校と協議しながら支援を進めるなど対応していると伺っています。
また、「ヤングケアラーコーディネーター」を配置し、子ども家庭支援センターのケースワーカーとともに直接の支援を行っていると承知しています。
そして、幅広くフォローしていくために、高齢・障害といった福祉の分野に関係する機関等とも連携し、「地域のお子さんたちで気になる家庭やお子さんがいたらつないでください」というように、ヤングケアラーコーディネーターが様々な会合や施設等に出向いてお願いしているとのこと。
そこで伺いますが、それぞれの効果や実績などあればご教示ください。また、世田谷区では、ヤングケアラーコーディネーターに自身がヤングケアラーだった経験を持つ職員をあて、効果をあげているとの話も聞きました。併せて、ヤングケアラーの発見や支援における更なる取り組みなどについて、区のお考えがあればお聞かせください。
次に、若者ケアラーについて伺います。
2024年6月に施行された改正「子ども・若者育成支援推進法」では、ヤングケアラーに関して定義が設けられ、日常生活上で過度に家族の介護などを担う子どもや若者として、40歳未満の者まで一貫した支援が必要であるという方向性が示されています。
子どもの頃から家族のケアをしていたケアラーが、19歳になったからといって、ケアが終わるわけではなく、年を重ねるごとに家族の病気が快方に向かいケアから離れることができる人は稀だと聞いています。むしろ、疾患や障害が重くなる、高齢になるにつれ介護度が上がるといったケースが多く、これにより負担が更に大きくなることは想像に難くありません。また、外国籍のご家族をケアしている場合では、翻訳を手伝うケースなど、終わりがあるとは言いにくい状況です。
一般社団法人ヤングケアラー協会の小田桐理事は、「ケアラーが学校を卒業しようと、就職をしようと、年を重ねてもケアはそう簡単には終わらない。またケアに割いてきた時間が長くなるほど、進学や就職活動に悩みを抱えるケースも多く、ヤングケアラーだった子どもたちはいずれ働きながらケアに臨む若者ケアラーとなる可能性が非常に高い。」と、警鐘をならしています。
また、2030年に若者ケアラーは318万人になると予測されており、ケアによって労働に影響がでると仮定すると、労働力の減少が及ぼす日本の経済損失も計り知れません。
そうした中、これまでの区の調査対象を考えますと、子どもから大人になる段階に対しては目が行き届かない可能性が垣間見れます。
先ほど紹介した「ヤングケアラーコーディネーター」に関しては、若者支援担当というものも兼務していることから、18歳を超える子どもが若者になっていく部分に関しても、支援の継続など、関係機関や当事者と協議した上で、並走しながら実施を図っていくとのことでした。
そこで伺います。区は、若者ケアラーへの支援をどのようにお考えか、ご所見を伺います。
また、先ほどの若者ケアラーへの支援の継続は、小中学校の児童・生徒で発覚したケースにおいて有効ですが、これまでの調査から漏れてしまっている世代はいまだにヤングケアラーとしての自覚なく、ケアに縛られてしまっていることが考えられます。
そもそも若者ケアラーは行政機関に相談するケースが少なく、問題がみえづらいことが課題と言われており、そうした中、港区では家族の介護をする18歳から39歳の若者ケアラーへ、「ケアをしている家族の有無」、「就職や結婚への影響」などを尋ねる実態調査を行いました。「声を上げにくかったり、社会とのつながりが希薄化したりして、追い込まれてしまう問題がある。実態調査し、必要な支援につなげたい。」と、清家港区長は、その意義を語っていました。
そこで伺います。どのような課題解決にも状況把握は不可欠であり、ただでさえ発見が難しいとされる若者ケアラーについての実態調査は必要と考えます。区のお考えをお聞きします。
「介護人材不足への備えについて」
厚生労働省は、全国の65歳以上の高齢者数がほぼピークになる2040年度に介護職員が約270万人必要となり、現状と比べると約57万人が不足するとの推計を公表しました。特に都市部の職員不足が著しく、不足数が最も多いのが東京都で約8万人弱とされています。
高齢者介護施設を運営する事業者からは「人手不足は深刻で、このままでは事業を続けていくことが難しい。」と悲鳴があがっています。
東京商工リサーチの調べによれば、2024年の介護事業者の倒産が、過去最多の172件(前年比40.9%増)に達したとのことで、基本報酬のマイナス改定などが影響した「訪問介護」が過去最多の81件、多様化したニーズに対応できなかった「デイサービス」も過去2番目の56件、有料老人ホームも過去最多の18件といずれも増加し、人材不足がその理由とされています。
このまま介護の担い手を確保することができなければ、施設であれ、在宅であれ、どのような介護サービスも「保険あってもサービスなし」が現実のものとなってしまいます。
そうした状況の中、職員の処遇改善などの抜本的な見直しが求められると共に、各自治体でも人材確保の工夫が必要とされています。
そこで伺います。
まず、全国的に人材不足が深刻化する中、新宿区においては介護職員の不足はどのような状況なのか、ご教示ください。また、そうした状況が倒産や廃業といった介護事業所に及ぼす影響をどのように把握しているか、お聞かせください。
また、区では「介護従事職員宿舎借り上げ支援事業」や「介護福祉士資格取得等費用助成事業」などで介護人材の確保や育成に取り組んできましたが、このままでは他自治体との人材確保レースで後れをとることにもなりかねません。それぞれの介護職員確保の施策における実績を伺います。また、利用要件の緩和など今後の運用について、お考えがあればお聞かせください。
最後に、こうした人材不足への対策として、介護業務をデジタル化する「介護DX」について伺います。「介護DX」は、国の先行実証事業として、様々な自治体で進められています。こうした現場では、「毎年7月に一斉更新される負担者割合証のコピーを各事業所に送る作業など、デジタル化でかなりの手間が軽減できた」など、効果についての報告もなされています。
また、介護保険で介護サービスを受けるための手続きや要介護度が変わる際の手続きに要する時間など、全国平均で40日超とされてきましたが、各所で最大8日の短縮効果があったことが確認されました
厚生労働省は、こうした業務のデジタル化を来年度以降、準備が整った自治体から順次導入し、全国に展開する考えで、医療機関や介護事業所などに散らばる利用者の情報を介護情報基盤というシステムで管理を一元化していく計画とのこと。
そこで伺います。
区は、こうした介護業務をデジタル化する「介護DX」の取り組みについて、どのようにお考えでしょうか。また、具体的な採用計画などあればご教示ください。
「投機目的のマンション購入対策について」
新宿区は、都心に位置し、交通利便性や商業施設の充実度から、国内外の多くの人々にとって魅力的な地域です。そのため近年、投機目的でのマンション購入が増加し、住民の居住環境や地域コミュニティの安定性に影響を及ぼすのではないかという懸念が高まっています。
隣接区の千代田区では、投機目的のマンション購入に対する規制をしようと、区内に実際に住む人を優先するという姿勢を示すことで、地域コミュニティの維持や住環境の保全を図ろうとしています。この動きは社会的反響を呼び、報道も数多くなされています。
もっとも、こうした規制は法律上、強制力を持たせることが難しいため、千代田区としてはアナウンス効果を狙い、投機的な購入を検討する事業者や個人、そして地域住民へのメッセージとして打ち出したものと考えられます。新宿区としても参考にしつつ、区内で増加する投機目的のマンション購入に対する対応を検討していく必要があるのではないでしょうか。
そこで、以下の点についてお伺いします。
まず、実態把握についてです。
千代田区では、登記簿に記載されている氏名や住所等を調査したとされています。また、国土交通省は、法務省から登記情報の提供を受けて分析を行い、都内マンションにおける外国人購入の実態を明らかにする大規模調査を実施中であり、今年度上半期に報告書が公表される見込みです。
新宿区においては、マンションの投機目的の購入実態をどのように把握しているのでしょうか。区としての調査や分析があればお示しください。さらに、国土交通省や千代田区の取り組みを参考に、実態調査を行う予定があるか、お考えを伺います。
次に、隣接区からの影響についてです。
千代田区で投機目的のマンション購入規制が強化されれば、その影響は隣接区である新宿区にも及ぶことが予想されます。転売が制限されれば、代替の投資先として新宿区のマンションが選ばれる可能性があります。
投機的な購入者が新宿区内のマンションを購入することで、居住環境にどのような影響が懸念されるか、区としてのご見解をお聞かせください。
最後に、町会条例の活用と地域コミュニティの維持についてです。
投機目的のマンション購入抑制に関しては、「外国人排斥ではないか」との懸念も一部にあります。新宿区には多くの外国人居住者がおり、すでに地域社会の一員として共に生活しています。
新宿区では、本年4月に「新宿区未来につなぐ町会・自治会ささえあい条例」が施行されています。地域コミュニティの基盤である町会・自治会の活動を支援するこの条例を活かし、外国人を含む投機目的のマンション購入者やその居住者に対し、地域コミュニティの維持に向けた区としての考えや具体的方策があればお伺いします。